ホームページへ『引用』する際の守るべきルール
2016年 10月 15日
ホームページを制作していると、時には他者のホームページや本などに記載されている内容を用いてコンテンツを作りたいときがあります。
しかし他の方のホームページや本の内容は、その制作者が著作権を持っている為、勝手にコピーして掲載しては無断転載となり、著作権違反になってしまいます。
そんな時、著作権所持者に無許可でも掲載できるのが『引用』と呼ばれるものなのですが、この引用にもいくつかルールがあり、それを守らなければ転載とみなされてしまいます。
今回はこの『引用』について詳しく説明しようと思います!
私的に使用する為の複製はOK
そもそも、著作物を無許可でコピーする事が違法ではありません。
しかしそれには、『私的使用をする場合』に限られているのですね。
分かり易い例としてはテレビではないでしょうか。
例えばテレビの番組を録画(コピー)して自分で楽しむ事を咎める人はいませんよね。
しかしこの録画したデータを、無断でインターネット上で公開などすると『私的使用』の枠を出てしまうという事です。
あくまで自分や家族の為、であれば無断であれコピーする事は違法ではありません。
ただし、インターネット上では無断でアップロードされたテレビ番組やアニメの動画があります。
それらが違法にアップロードされたものであると知りながら視聴、ダウンロード、複製などをする事は問題があります。
また、録画、コピーしたファイル等を自分のブログに羅列し、これは自分でまとめて楽しむ為のものだ!と主張をしても、不特定多数の閲覧が可能な場合は著作憲法違反に当たりますので注意しましょう。
引用であれば無許可で著作物を掲載できる
さて、基本的にインターネット上には無断で著作物を掲載できない事をご紹介しました。
しかし、著作憲法第三十二条には
『公表された著作物は、引用して利用する事が出来る。』
と書かれています。
つまり引用のルールにのっとっていれば、著作者に許可を取らずとも著作物の掲載が可能なのです。
引用には細かくルールがある
さて、著作権法の中に引用はしても良いと表記がある事をご紹介しました。
しかし、引用のルールを守っていなければ無断転載や盗用になってしまいますので気を付けましょう。
- 引用する内容はすでに公表されているものである
- 自分のコンテンツの為に引用をする必然性がある
- 自分のコンテンツが主、引用部分が従、と主従関係が明確である
- 引用部分が括弧などによって他者から見て明確である
- 引用した部分の出典元が明記されている
- 引用部分を勝手に改変・改ざんしていない
1.引用する内容はすでに公表されているものである
当たり前に感じるかもしれませんが、引用するコンテンツはすでに公表されているものである必要があります。
例えば発表前の論文を見せて貰って、それが公表される前に勝手に引用して掲載するのはNGと言う事ですね。
2.自分のコンテンツの為に引用をする必然性がある
自分のコンテンツを掲載する際に、引用しなければ説明が出来ないなど、引用しなければならない理由がある場合に引用が認められます。
例えばある新聞の記事の批評を書こうとした時に、その新聞の記事を引用しなければ批評だけ書いても読み手には何の事かよく分かりませんよね。
そのような時には引用をする事が可能です。
ただ面白い記事だったから、皆に広めたいから、というだけでは引用は出来ないのですね。
3.自分のコンテンツが主、引用部分が従、と主従関係が明確である
他者の著作物を引用する際に、あくまで自分のコンテンツがメインである必要があります。
引用の部分でコンテンツを作るのではなく、引用した上でオリジナルのコンテンツを作る必要がある訳ですね。
たまに他のホームページの記事をコピーして、最後に一言コメントを書いただけの記事などもインターネット上で見かける事がありますが、それでは自分のコンテンツが主になっていないので引用ではなく転載になってしまいます。
4.引用部分が括弧などによって他者から見て明確である
引用された部分は、明確に引用であると分かるようにしなければなりません。
HTMLでは引用の為に<blockquote>というタグが使われています。
引用に当てはまる部分を<blockquote>~</blockquote>で囲えばいい訳ですね。
例えば
<blockquote>ここの文章は引用しています。</blockquote>
と記述をすると、
ここの文章は引用しています。
と、このように表示されます。
これであれば引用部分が他者から見てもハッキリと分かりますね。
5.引用した部分の出典元が明記されている
何か引用をした場合は、その引用元の出典を記載する必要があります。
ホームページやブログから引用をした場合は、出典元のURLとサイト名を掲載しておきましょう。
そのサイトへのテキストリンクも貼ってあげれば尚良いですね。
6.引用部分を勝手に改変・改ざんしていない
これも当たり前な事ですが、引用する内容を勝手に書き換えてはいけません。
時には引用の文章を一部省略したい事などもあるかもしれませんが、勝手に文章を縮めたりしてもいけません。
また、画像を引用する場合も勝手に加工したり、サイズを調整するために切り抜いたりする事もNGです。
画像を引用する時の権利と注意点
ここまでは文章を引用する場合についてを主に説明してきましたが、画像を引用する場合にはまた別の注意点があります。
写真に写っている人の肖像権
写真に人物が写っている場合は、撮影者の著作権だけでなく、写っている人の肖像権があります。
その場合は写真に写っている人の許諾がなければ、その写真を掲載する事は出来ません。
これは引用のルールを守っていても同様です。
引用は著作権をクリアするための決まりであり、肖像権をクリアする為の決まりではありません。
その為、他人の顔などが明確に写った写真は許諾を得ない限り無断で使用する事が出来ません。
有名人の写真のパブリシティ権
タレントや芸能人と言った有名な方の画像には、パブリシティ権というものが発生します。
芸能人や有名人の写真には、その肖像自体が価値を持っている為、勝手に画像を利用して顧客やアクセスを集める事はパブリシティ権の侵害になってしまいます。
有名人のポスターや広告も街中でよく見かけますよね。
そのようなものを勝手に作って利用してはいけないという事です。
なお、背景にさりげなく写り込んでいる場合はその度合いによって違法かどうかが変わってきます。
よく見なければ有名人だと認識できないくらい背景の一部となっている場合はパブリシティ権の侵害には当たらない場合もあります。
引用のルール まとめ
今回は引用のルールについてご紹介させて頂きました。
引用にはいくつも細かくルールがありますが、1つ1つを守る事は難しくありません。
引用を上手くコンテンツに盛り込むことが出来るようになると、自身のコンテンツにも説得力などが増してきます。
ルールを守れなければ転載や著作権侵害に当たってしまいますので、その点に注意して引用を行う様にしましょう。